わたがしに要注意!?ー楽観と悲観ー
事例1
私は耳を疑いました。
なぜなら、ご家庭が実力よりはるか上の学校にさえ行けると考えていたからです。
しかもそれは、入試直前のことでした。
「担任の先生も駄目と言うけど、息子は大丈夫です。」と、保護者様は仰いました。
ただ、息子は勉強を拒み続け、成績も一行に上がっていませんでした。
それでも保護者様はすでに受かった気になっておられて、入学後の生活まで想像なさっておられました。
一見、楽観的になるのは良いことのように思えます。
しかし実は、楽観には本当の危険性をはらんでいます。
それは、現実を見なくなることです。
事例2
私は首を傾げました。
なぜなら、ご家庭が実力よりはるか下の学校にしか行けないと考えていたからです。
しかもそれは、入試半年前のことでした。
「どうせ勉強が出来ないから、A学校で良いです。」と、生徒は言いました。
ただ、生徒は勉強に励み続け、成績も順調に上がっていました。
それでも保護者様はすでに落ちた気になっておられて、さらなる滑り止めを想像なさっておられました。
もちろん、悲観的になるのは良くないことのように思えます。
しかし実は、悲観には本当の危険性をはらんでいます。
それは、現実を見なくなることです。
このように、楽観と悲観には共通点があります。
それは、現実を客観的ではなく、主観的に見てしまうことです。
言い換えると、現実に対して盲目になるのです。
私たちは時に、何かを憶測することがあります。
「もしかしたら~出来ないんじゃだろうか。」
「何となく~出来るんじゃないだろうか。」
これらは根拠の無い事実に基づいています。
根拠が無いからこそ、不安が自分を襲うのです。
では逆に、憶測はやめて推測してみましょう。
「いつも国語は9割取れているから、次の国語も高得点が狙えるだろう」
「志望校はE判定だったから、志望校を変えた方が良いかもしれない」
これらは根拠の有る事実に基づいています。
根拠が有るからこそ、自信が自分を支えるのです。
例えるなら、憶測は"わたがし"で、推測は"レンガ"です。
わたがしは触ると柔らかいですね。感触はフワフワして不確かです。
触るとフワフワしているので、夢見心地になって時に甘い気分に浸れます。
でも、実際にわたがしに乗っていると、不安定なことに気づきます。
足下がすぐに揺らぐからです。そして、不安が襲います。
しかも、わたがしは少しでも雨風に打たれると無くなってしまいます。
一方、レンガは触ると固いですね。感触はガチガチして確かです。
触るとザラザラしていますが、確実に積み上げていける自信が沸きます。
しかも、実際にレンガに乗ってみると、安定していることに気づきます。
足下がなかなか揺るがないからです。そして、自信が沸きます。
しかも、レンガは多少の雨風に打たれてもビクともしません。
同じように、憶測は楽観的になったり悲観的になったりします。
しかし、推測は現実的になれます。
憶測は根拠に基づいていませんが、推測は根拠に基づいているからです。
もちろん、楽観視することが悪いわけではありません。
楽観視する前に重要なのは、現実的に物事を評価することです。
ジェットコースターのように気持ちが上下しやすい方は、客観的な理由を見つける癖をつけましょう。
「そう思うのは、どんな根拠によるだろうか?」
こう自問自答することで、考えが安定し、ひいては勉強にも良い影響を及ぼすに違いありません。
楽観・悲観の前に、客観。
ぜひご家庭でお試し頂きたい考え方です。